第1回 長沼毅 謎の深海生物にさぐる宇宙生命の可能性(前編)

 77年に調査したガラパゴス沖海底の場合は、出てくるお湯の温度が20℃とか25℃といった、いわゆるぬるま湯でした。ところがその2年後の1979年のこと。私は高校3年生になるときです。太平洋のメキシコ沖、我々専門の人たちが「9°N」と呼んでいるところに、また海底火山が発見された。ここではものすごい高温の熱水が噴いているにもかかわらず、またもやよくわからない生き物がいたのです。

 熱水の温度は340℃ありました。ここは水深が2500メートルあるので、上に水が2500メートルも乗っています。それだけの水圧がかかりますから、水は100℃を超えて、200℃、300℃を超えても沸騰しません。340℃の熱湯が噴いていたのです。

 水深2500メートルの深海では、水温は通常2℃~3℃です。そんな深海のある点に340℃の熱水が噴き出したところで、1メートルも離れてしまえばすぐに30℃、20℃まで下がってしまいます。だから、熱水が噴き出しているそばでも生き物が寄ってこれるんです。

海底火山の謎の生き物チューブワーム

 その海底火山の周りに例のよくわからない生き物がいました。チューブワーム。文字通りチューブ状のワーム(むし)ですが、1本1本のチューブが1個体です。

 この生き物が見つかった水深2500メートルの深海は、潜水艇の照明を落とすと真っ暗闇です。完全な暗黒で、光のない場所ですから植物はいません。光合成ができませんからね。

謎の生き物チューブワーム(提供:JAMSTEC)(写真クリックで拡大)