第1回 長沼毅 謎の深海生物にさぐる宇宙生命の可能性(前編)

深海から南極まであらゆる辺境におもむいて生物を研究する長沼毅先生に、深海生物と宇宙生命のつながりをひも解いていただきます。高校生だった長沼青年は、1979年に起きた科学の二つの大事件に心を奪われました。それは海底火山で謎の生物が見つかったこと、そして木星の衛星で火山が見つかったことでした(編集部)

南極湖沼調査時の長沼毅さん(提供:長沼毅)(写真クリックで拡大)

 皆さん、こんにちは。広島から来ました長沼毅です。
 今日は私がトップバッターで深海生物から宇宙生命の可能性につながる話をします。

 今から37年前の1977年、私が高校1年生のときです。太平洋のガラパゴス諸島沖で海底火山(熱水噴出孔)が発見されました。日本でも最近、海底火山が噴火して新しい島ができたなんて言ってますけども、あの種類のものが、37年前、こんな所にないでしょうという海の底に発見されたんです。

 きっかけは、プレートテクトニクスという理論でした。地震や火山の噴火といった現象を、地球表面のプレートが動いていることで説明する理論です。東日本大震災を引き起こした巨大な地震も、元をたどれば、太平洋の海底にあるプレートが日本列島がのっかっているプレートの下に沈み込んでいることが原因です。

 このプレートテクトニクスは今でこそ標準理論となっていますが、77年当時はまだ若い理論だったんですね。これにしたがえば、海底に火山があるはず。なら実際に潜ってみようということで、深海潜水艇で調査してみたら、本当に見つかった。プレートテクトニクスはこれにより、仮説から理論に格上げになった。海底火山が見つかること自体は仮説通りの結果だったわけですが、完全に予想外のことがありました。その海底火山に、よくわからない生き物がいたのです。

深海の熱水噴出孔(提供:JAMSTEC)(写真クリックで拡大)