話を伺ううちにツェペリナイが茹で上がった。確かに飛行船のような楕円形をしている。上からサワークリームと刻んだベーコン、豚肉でつくったソースをかけ、イベントが始まる前にこっそり味見をさせていただく。

 ツェペリナイにフォークを入れると弾力性が感じられた。もちもちの食感はまるで団子のようだ。ジャガイモの甘み、それから肉のうま味が口の中にじわじわと広がっていく。素材を生かした素朴な味で、ソースの酸味がほどよいアクセントになっている。レモンほどの大きさで、ジャガイモ&肉というなかなかのボリュームだったが、ペロリと2つも食べてしまった。

 すっかり満足してしまったが、いよいよイベントが始まるようだ。会場に集まった人びとが席に着く。来日中であった農業省事務次官のダリア・ミニアタイテさん、同行した食品加工会社の代表者がリトアニアの農業、食品加工業の説明をする。ダリアさんは、「現在、日本に輸出されている食品はチョコレートやスナック菓子などわずか。イベントを通じて乳製品や豚肉など、リトアニアの主力農産物の輸出拡大を図りたい」と言う。

 プレゼンテーションを終えたダリアさんに話を伺うことができた。まずはリトアニアの農業について尋ねる。「リトアニアは旧ソビエト時代まで、ほとんどの人が自給自足の生活をしていました。物流がなかったからです。いま都市部でそのような生活をしている人は少ないですし、農業自体も経営という概念を持った大型農家が増えてきましたが、田舎に住む人びとの暮らしは変わっていません」

豚肉のツェペリナイ。ジャガイモ、豚肉、乳製品はリトアニアの主要食材であり、サワークリームのソースがかかったこのツェペリナイは、リトアニア料理の象徴ともいえる

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