テーブルの上に料理を準備するガリナさんと口尾さん。手前にある緑や赤のチーズは、トマトやバジルなどの食材を使って色や味をつけたもので、来日した乳製品加工会社「VILVI」の売り出し中の商品

 まっさきに浮かんだのはイギリスのロックバンド「レッド・ツェッペリン」。しかしこれ、当たらずといえども遠からず。ツェッペリンとは20世紀初頭にドイツで開発された飛行船のこと。レッド・ツェッペリンの名はそれに由来するが、この料理もかたちが飛行船に似ていることからそう呼ばれるようになったらしい。

 とはいえ、飛行船だけではどんな料理か想像できない。「いまつくっているところなので、こちらへどうぞ」とガリナさんに導かれてキッチン台のほうへと向かうと、大使館のイベントなどで料理を手伝っている料理研究家の口尾麻美さんが、挽き肉のようなものを何かで包んでいた。

 「豚挽き肉と刻んだ玉ネギを、ペースト状にしたジャガイモで包むんです」とガリナさん。これを茹でたものがツェペリナイだという。味付けは塩・コショウだけでサワークリームなどでつくるソースをかけて食べるというから、シンプルな料理なのかと思いきや、とても面倒で難しいそうだ。

 「ジャガイモを生のまますり下ろすんです。これが固いのですごく大変。それをさらしに入れて水分をしぼり出します。その汁をしばらく置いておくとでんぷん質が沈殿するので、しぼったジャガイモにでんぷんを再び混ぜ合わせます。水分をしぼりすぎるとパサパサになるので加減が大事。そうしてできたジャガイモ生地で具を包むんです」

 ガリナさんの説明を聞くだけで手順の面倒くささに気が遠くなったが、もっちりとした食感を出すためには、そのでんぷんがポイントなのだという。「日本のジャガイモはでんぷん質が少ないのでとくに難しいんです。茹でるときも煮えたぎった熱湯じゃないと崩れてしまう。私も何回も失敗しました」と口尾さんも教えてくれた。プロが言うのだから本当に大変なのだろう。

ジャガイモ生地で具を包む。大使館ではおろし金でジャガイモをすり下ろすが、リトアニアにはジャガイモ専用のすり下ろし器もあるそうだ。ジャガイモは放っておくとすぐ変色してしまうので、レモン汁で色をキープする
茹で上がるまでおよそ20分。リトアニアの一般的なツェペリナイは一回り大きいので30分はかかるという

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