東京メトロの地上出口を出て上を見た。六本木のランドマークのひとつ、「六本木ヒルズ」のビル群がそびえ立つ。先日、「ラファエル前派展」を観にきたばかりの森美術館は、今年で10周年になるそうだ。しかしこの日は、夕日が沈んでネオンが輝き出した六本木の街を背に、ヒルズを抜けて静かな住宅街へと足を踏み入れた。港区元麻布にある「駐日リトアニア共和国大使館」へ向かうためだ。

 2月23日に開催された「東京マラソン」のイベントブースで、リトアニア共和国のソウルフード「シャルティ・バルシチェイ」に出会った(第20回参照)。鮮やかなピンクの冷製スープで夏には欠かせないものだというが、寒い季節にも食べるのだろうか。駐日大使夫人のガリナ・メイルーニエネさんにそう聞くと、「冬には冬のソウルフードがある」と教えてくれ、その料理を振る舞うイベントにご招待いただいたのだ。

 白亜で瀟洒な佇まいの大使館にはひとりふたりと招待客が集まり始めていた。この日のイベントは日本の食品産業関係者にリトアニアの食品を紹介するものだという。始まるまでまだ時間があったので、許可をもらってキッチンに入れてもらうことに。中ではガリナさんたちが料理の準備をしていた。赤やオレンジ、緑色をしたカラフルなチーズや、ハム、サラミ、オリーブがテーブルいっぱいに並んでいる。ガリナさんに挨拶をしてさっそく“冬のソウルフード”を尋ねた。

 「ツェペリナイです」

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