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「その方が、情報量が増えるんで、暗黒エネルギーとは何かって迫りやすいんです。そういう現実的な理由もあるんですが──」と前置きしつつ、もっと理論的、原理的な理由を語ってくれた。

「──今考えられている暗黒エネルギーや、宇宙定数って、時間に対して変わらないだけじゃなくて、空間的にも一定なんですね。でも、僕にはそんなものが物理に影響するとは思えない。例えば、粒子が運動する時に、大事なのは勾配なんですよ。ダムに高低差があって、それで発電できるのと同じです。どんなに大きなポテンシャルがあっても、勾配がなければ、宇宙に影響を与えることはできない。でも、暗黒エネルギーは、宇宙を一様に満たしていて、時間変化もしないのに、なぜか宇宙に影響を及ぼすっていうんです。これは、ちょっと受け入れがたいと思います」

「──今の説が正しいとしたら、数ある物理学の中で一般相対性理論だけが非常に異なる性質を持つ事になります。だから困ってるんです。僕としては、そんなことあり得ないっていう論点に立てば物事はすっきりするんじゃないかと思ってるんですね。それを証明しようと思ったら、暗黒エネルギーの密度が時間変化してることを示せればいいんです。それだけで十分です。すると、解釈の1つとして一般相対性理論を修正する必要がある事になります」

 小松さんは、さらりと述べたけれど、これはとても大きな発言だ。

 なぜなら、小松さんの目論見通りの発見がされれば、すなわち、一般相対性理論を書き換えなければならなくなるというのだから。重力場の方程式にぽんと定数を放り込んでも、何も起こらず、時間や空間の関数として変化するものしか宇宙に影響を与えない。それは、もはや通常の一般相対性理論ではない。

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