ずいぶん深いところまで、話は進んできた。

 専門的な記事なら、WMAPの成果だけでもこの何倍もの言葉を費やして、解析の方法などに進みたいところだが、ここではそこまでいくだけの「紙幅」も、ぼくの能力もない。

 ただ、WMAP衛星で得られた宇宙の「音波」を図示しておくのは、ぼくなんぞよりももっと探究できる人にとっては有益だろうし、音響学など宇宙には直接関係ない分野の研究者にとっても興味深いかもしれない。下記の図がまさにそれ。

(画像提供:小松英一郎)(画像クリックで拡大)

 WMAPが観測した宇宙背景放射から得たパワースペクトル、つまり、宇宙の晴れ上がりの時に放たれた光に刻印された音波の情報を、周波数ごとに分解して強度を示したものだ。横軸が周波数、縦軸が強度(ただし単位はケルビン(絶対温度)の2乗になっている)。1つ目のピークの位置から宇宙年齢などがわかり、ピークの高さからは暗黒物質の密度などが分かる。またこの2つの情報を組み合わせると、宇宙の膨張にかかわるハッブル定数も明らかになる。2番目のピーク以降や全体の傾きにも、それぞれ意味がある。といったふうに、このパワースペクトルから「宇宙論を決める」ことができるという。

 これをしげしげと眺めたあとで、小松さんが最初に見せてくれたWMAPによる宇宙のシワを描いた天球写真や天球儀に立ち返ると、非常に感慨深いものがある。

 あえていうなら、

「宇宙の『始まりの終わり』に撮った記念写真」みたいなもののような気がするのだ。

(写真クリックで拡大)

本誌2014年4月号でも特集「宇宙誕生 見つめる目」を掲載しています。Webでの紹介記事はこちら。フォトギャラリーはこちらです。ぜひあわせてご覧ください。

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