「インフレーションから宇宙が晴れ上がるまでの間、光と物質が互いに散乱しあっていて、全体でひとつの流体のように振舞っていたんです。その間、光と物質の流体を伝わるのは、音波、つまり疎密波でした」

 なるほど、気体である地球大気も流体の一種だ。疎密波とは、物質の密度の変化が次々と伝わっていくタイプの波。空気を伝わる音波はその身近な例である。宇宙初期、「宇宙の晴れ上がり」よりも前の時点では、宇宙を満たしていたのが流体で、そこでまさに音波が伝わっていたとは!

 音波だから、当然のごとく伝搬の速度は光速になるはずもなく、だいたい光速のルート3分の1(およそ60パーセント)くらいだったそうだ(時期によって微妙に違う)。

 と、そのようなことを理解した上で、やはり疑問なのは、そのような宇宙の中で飛び交っていた音波とは、そもそも何が起源なのか。

 これまで伺った話から、候補は自ずと浮かんでくる。

 よく科学啓蒙書などで描かれてきた「光、あれ」というビッグバン的な爆発のイメージではなく、「音、響け」とばかりに起きた現象とは──。

「インフレーションですか」と聞いたところ、「ええ、そうです」とあっさりと正答だったようだ。ただし、事態はちょっと複雑だ。

「宇宙が始まってすぐにインフレーションがあって、その最中に生み出されたゆらぎによる衝撃が音波として広がっていったんです。インフレーションの最中にはゆらぎがつくり続けられてるんですよ。それも誰かが一撃、カーンと打ったようなイメージではなく、実はカンカン、カンカンと何度も起きるわけです。それを調べることで、宇宙がなにから出来ているかですとか、大切なことがわかります」

 宇宙が何からできているかわかる。宇宙の「組成」がわかる。宇宙の成り立ちがわかる。

 ひいては、前にも述べた6つのパラメータが分かる。

 いったいどうやって? 小松さんによる例え話が面白い。2パターンの説明の仕方がある。

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