第3回 ビッグバンは宇宙の始まりではない

 ここで注意喚起しておきたいことが2点。

 1つめは、「宇宙の加速膨張」だ。

※宇宙の年齢137億年はWMAPの観測による値を採用。(画像クリックで拡大)

 図の右側の端近くに、「ダークエネルギー(暗黒エネルギー)による加速膨張」とある。宇宙が膨張しているのはよく知られている。それがいつまでも続くと宇宙は際限なく引き延ばされてやがては絶対零度の「熱的な死」を迎えることになる。しかし、そうはならず、どこかで膨張が収縮に反転し再び原初の「ビッグバン」のような火の玉に戻ってしまうのかもしれない。ぼくが学生時代に読んだ本では、そのような問題が取り沙汰されていた。しかし、今では、宇宙が膨張し続けているのみならず、この80億年の間、さらに加速して膨張しているという驚きの観測事実が受け入れられている。その加速膨張をもたらしているものを暗黒エネルギーと呼んでいるわけだ。実は正体不明なままのこの暗黒エネルギーを、宇宙論研究者や天文学者に信じさせるにたる成果を出したのがWMAPだ。

 さらに、2番めの注意喚起は、宇宙の始まりとしてよく言及される「ビッグバン」そのものだ。

 図をよくよくみると「ビッグバン膨張」の始点は、宇宙の最初にあったらしい量子ゆらぎの部分ではなく、インフレーションでもなく、その後あたりに置かれている。これはなにを意味するのか。