第3回 ビッグバンは宇宙の始まりではない

※宇宙の年齢137億年はWMAPによる値を採用。(画像クリックで拡大)

 まず、宇宙の最初には、のちに「シワ」の原因になる量子ゆらぎがある。

 そこに「瞬きもできない刹那」、インフレーションが起きる。

 その後、しばらくは火の玉宇宙だ。電離したままの電子や陽子が宇宙に満ちていて、光子が散乱されるため、光がまっすぐ進むことができなかった。特に電子は光子を散乱する効果が強い。宇宙開闢38万年後になってようやく電子と陽子が結合したため、光が宇宙をまっすぐ進めるようになった。これを「宇宙の晴れ上がり」という。

 なお、宇宙背景放射で見ているのは、「晴れ上がり」の時に出た光だ。最後に受けた電子による散乱の情報を今も残している太古の宇宙の証人である。

 そして最初の星が生まれるのが4億年後。原初の量子ゆらぎを起源とする宇宙のシワゆえに、物質の偏りが生まれ、そこから最初の世代の星々が生まれた。

 星が生まれると局所的に高温な領域ができるので、そこでは電子と陽子が再び離れて、「再電離」する。ここで、一部の光子が再び散乱する。晴れ渡った宇宙に少し霞がかかったことになる。実は、小松さんは、この「再電離」の分析を任されて大きな成果を挙げた。

 そして、誰もが非常に興味を持つであろう宇宙の年齢(ビッグバン膨張の期間)は、137億年とされた。

 これらは、のちのプランク衛星の観測で微修正された部分もあるが、基本的にはWMAPの観測によってだいたい固まった。まさに「宇宙論を決める」感じがするのではないだろうか。

こちらは本誌特製付録ロングポスター「宇宙の謎に迫る」。あわせてご覧ください。(画像クリックで拡大)※本特集掲載号の紹介ページはこちら