外は霧がかった曇天ながら、窓の外には木立が見える心地よい執務室の打合せ用テーブルで相対し、ぼくはこのあたりからざっくばらんに伺った。「何をして来たの? 何するの?」と。

 小松さんは研究所のコーヒーマシンで作ったエスプレッソを口に運びつつ答えてくれた。

「そうですね、これまでずっとやってきたことといえば、『宇宙マイクロ波背景放射を用いた宇宙の始まりの研究』です。そして、これからやろうとしていることで大きいものは『インフレーション理論を確認すること』と『銀河までの距離の測定を用いた暗黒エネルギーの研究』ですね」とのこと。

 さて、さっそく暗号のような、あるいはSFめいた言葉が出てきた。

 宇宙マイクロ波背景放射、インフレーション理論、そして、暗黒エネルギー。

 現在の宇宙論では、非常に重要なものであり、この宇宙がいかに始まったか、そして、いかなるものであるか、ということを知るために欠かせない要素だ。

 本当に話題満載で、はち切れそうになってしまう予感を抱きつつ、ここでは出てきた「時系列」に沿って、宇宙マイクロ波背景放射からはじめよう。英語では、"Cosmic Microwave Background"、略してCMBといって、日本語にした時と、わけのわからなさにおいては変わらない。

 では、小松さんの説明は?

この連載の次の
記事を見る