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- APRIL 2014 -
悲運の巨大タイヤ
「史上最大のタイヤが生命のいない大陸を駆け抜けるだろう」
そんな誇らしげな説明とともに、『ナショナル ジオグラフィック』1940年2月号に掲載されたのが、上の写真。米国オハイオ州のグッドイヤー本社近くで撮影されたものだ。
直径3メートル、重さ300キロを超えるこの巨大タイヤは、リチャード・バードの南極遠征に使うスノークルーザー用に製造された。しかし、残念ながら大活躍とはいかなかった。
クルーザーは、米国内の移動中から、川に落ちたりモーターが故障したりとトラブル続き。なんとか南極大陸へ到着はしたが、こんどは車自体の重みで雪に深く沈んでしまい、結局、雪の中に放棄されることになった。取り残されたクルーザーは、1958年に一度目撃されたものの、その後行方はわからないままだ。
写真=Willard R. Culver, National Geographic Creative