(写真クリックで拡大)

 庭先の茂みで、またヘンなものを見つけた。
 3ミリほどのムシのフンが、葉っぱの上を滑るように動いている(上の動画を再生してみてください)

「?」

 よく見ると、カタツムリのような、イラガ(蛾)の幼虫のような・・・
「なんじゃこりゃ?」

ガラス容器内の幼虫のお腹側を観察(写真クリックで拡大)

 さっそく大学の昆虫の先生やカリフォルニアのイラガ専門家に写真を送った。さらに自分でもこの幼虫をガラス容器に入れて観察してみた。アレ?と思った。どこかで見たような。

「もしかしたらキノコバエの幼虫?」

 ちょうどそんなときカリフォルニアの研究チームのキノコバエの専門家 Chris Borkent博士から連絡が入った。「飼育は可能か? もしこれがコスタリカでみつかったのであれば、熱帯からの初めての記録だ!」

 おそらく新種だろう。

 少し話はそれるが、これまでどれだけ新種を見つけたかと質問されることがある。わからないぐらい見つけている。数えたことはないが、たぶん1000種は超えているだろう。

 でも、新種を見つけようと思って研究をしているわけでもなく、単に新種というだけですごく心がときめくわけでもない。

 ワクワク感や揺さぶられるようなときめきがあるのは、むしろこのキノコバエのように、生態が「新記録!」だった場合だ。たとえば「こんなところもいた!」といった分布の新記録や、「こんな生き方が!」という新しい生態やほかとは全然違う生き方がわかったりしたとき。
 こういったことは、研究仲間や専門家の間では、ちょっとした「ニュース」になる。情報を学者仲間と共有できるときが至福のひとときだ。

 その後、ぼくはこのキノコバエの幼虫を、成虫まで育てることに成功した。
 幼虫の形や行動、サナギになったときの繭の美しさにChrisとぼくは驚かされた。これからさらに詳しく観察や研究を重ね、論文にする準備を進めている。ぼくらのワクワクは続く(笑)。

 次のページでは、ここ数カ月の間にときめきのあった新発見や新記録の一部をご覧ください。最後に、木の実を食べる「今週のピソちゃん」もあります!

キノコバエの一種(ハエ目:キノコバエ科)の幼虫
Larva of a mycetophilid fungus gnat
キノコバエの専門家Chris Borkent & Ray Gagné博士によると、PhroniaTrichonta属のキノコバエ。実は北米やヨーロッパの北側の冷帯地域に生息している仲間で、生態はあまりわかっていない。コスタリカのような熱帯地域からの発見は、二人ともビックリ仰天だという。
体長:約3 mm 撮影地:モンテベルデ、コスタリカ(写真クリックで拡大)
PhroniaTrichonta属キノコバエの一種(ハエ目:キノコバエ科)の繭
Cocoon of the mycetophilid fungus gnat
キノコバエがこれほど繊細な繭をつくるなんて知らなかった。
長さ:約5 mm 撮影地:モンテベルデ、コスタリカ(写真クリックで拡大)

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