第5回 シベリアの果てから1万3000キロ! 嘘みたいなサバイバル脱出劇

 ロストは瀕死の状態だったが、またしても親切な遊牧民に救われた。彼らはロストの傷を手当てし、回復に力を貸してくれた。その後、ハスキー犬の1頭を与え、送り出した。ロストはその犬をビレムと名づけた。
 1951年夏、ロストが鉛鉱山から脱走して20カ月が過ぎた。だが中国国境ですら、まだ1280キロも先だった。

 市民と出会う機会の多い地域に入ったため、自分はラトビア人で、強制労働収容所での8年の刑を終え、中国近くの都市チタに行くよう命じられた、という話をでっち上げた。この話は、あまりロシア語ができず、体中傷だらけの状態の説明になった。

 運良く中国人のトラック運転手が中国国境まで乗せて行ってくれたものの、国境は防備され、通行禁止になっていた。怪しんだ警備兵がビレムを撃ち殺し、ロストは再びソ連の国内を逃亡しなくてはならなかった。

出国

 1952年初頭までに、ロストはアラル海の東まで到達していた。そこで短期間、地元の地下活動組織のメンバーと生活を共にした。彼らはロストをソ連から脱出させると約束した。北に向かってカスピ海を回り、カフカスを通ってイランに入るという。

シベリア、チュクチ半島の荒野。ロストは無人のシベリアを逃げた。『本当にあった 奇跡のサバイバル60』より(画像クリックで拡大)