ある日、午前の撮影を終えて、ロッジでお茶を飲んでいたときのことでした。

 バタンとドアが開く音がしたとおもったら、ウィルがやって来て、「午後は空いてるか?」と聞いてきました。

 どうやら今夜、どこかでウィルの講演会があるらしく、その会場に連れて行ってくれるというのです。

しんしんと雪の降る森に、アメリカコガラをみつけた。彼らは渡りをせず、ノースウッズの冬に留まる。マイナス30度を下回る夜を、この小さな体で、どうやって過ごしているのだろう。(写真クリックで拡大)

「作業がまだ残ってますが?」と答えたのですが、「行きたければ、今日はする必要はない」とのことでした。

 撮影もしたかったけれど、ウィルや極地探検のことをもっと知るいい機会だし、なによりも楽しそうだと思って、ぼくは喜んで連れて行ってもらうことにしました。

 午後2時を過ぎた頃、ウィルは見るからに古そうな車に乗って、ホームステッドを出発しました。

 赤色のよくある乗用車ですが、車体のところどころの塗装が剥げ落ち、錆びがでて、フロントガラスには数カ所、石でも当たって欠けたような跡がありました。

 エアコンもないので、砂利道の上を、窓を開けたまま走っていると、車内はあっというまにほこりっぽくなりました。

 それでも見た目以外の整備はされているらしく、舗装された道路に出ると、ブルブルと音をたてて軽快に走り出しました。

3月19日(水)に日本橋 ギャラリーキッチンKIWIで、3月21日(金)に東急東横線「学芸大学駅」西口すぐの喫茶店「平均律」にて大竹英洋さんのトークライブが開催されます。くわしくはこちらのページをご覧ください。

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