第82話 それは、女の子にお赤飯を炊く日だった。

 あれ?

 あれれ、ないよ……。

 えええ、付いてな~い!

 ひっくり返ってお腹を出して、「撫で撫でして~」と甘えてくる1匹の犬に、「おーよしよし」と胸のあたりから腹部までを撫でてやっていたときのことである。

 え? 無い。無い、無い、無い。

 まさかこの子……。

 すっかりオスだと思っていたその犬は、いわゆるアレが付いておらず、どうやら女の子だったようなのである。

 ミンチュミナに来てからずいぶんと経つというのに、そのことにまったく気付かなかった私は、一瞬呆然としてしまった。

 その犬の名前はBB。

 全身がカラスのように真っ黒な毛に覆われていて、キツネのようなシャープな顔立ちをしていることや、微妙な筋肉の付き具合から、そもそも性別不明の容姿をしていた。

 たぶんBBというのは、ブラックなんとかを短縮したのだろうけど、そんなことにこだわらず、せめてソフィとかクリスティーヌといった女の子らしい名前だったら気付いていたかもしれないのに、その名前の由来もよく分からない。

 それよりもなによりも、オスのグループの中に繋がれていたものだから、全くもって疑うこともない。

 私にとっても、あるはずのものが無いとなると、驚いてしまって、ちぎれ落ちてしまったのかと、心配して腹部あたりをまさぐり探してしまった。

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