第105回 タマネギの香りが命? タイのプリン菓子

 「タイではマンゴーの木が生えている家も多いですし、もち米も家の常備品なので手軽に作れるんですね。マンゴーが美味しい3、4月によく食べるデザートなんですよ」とダー先生はいう。日本人には「変わった」と見えるお菓子でも、タイという国の日常の風景からごく自然に生まれてきたものなのだ。ちなみに、タイのお菓子によく使われるココナッツやバナナも、庭によく生えている果樹なのだという。だから、同地のお菓子によく使われるココナッツミルクは生の果実から絞る家庭も多いそう。

 ちょうどマンゴーの季節ということで、タイ商務省が本場のタイ料理が味わえると認定した都内のタイ料理店でカオニャオマムアンを食べてみた。これが思った以上に美味しい。ほんのり甘いココナッツソースがかかった軟らかいもち米が、少し酸味のあるマンゴーの果実と合わさって、さわやかな味わい。果実ともち米の食感が異なるのも、美味しさにプラス。ココナッツソースは少し塩の味もして、よく塩味がすることもタイ菓子の特徴の一つだと石川さんがいっていたのを思い出す。お店の人によれば、タイには多くの種類のマンゴーがあって、それぞれ味わいが異なるそう。他の種類のマンゴーなら、カオニャオマムアンもまた別の味わいになるのだろう。

 実は、家に友人からもらったインスタントのカオニャオマムアンがあった。この機会に食べ比べてみようとパッケージを開けてみた。中に入っていたのは、乾燥もち米、粉末状のココナッツソースとフリーズドライのマンゴー。もち米に水を加えレンジで戻した後、これにココナッツソースの粉末とマンゴーを混ぜ入れ、しばらく置いてもち米にココナッツ味が浸透したら完成だ。

 出来上がったインスタント・カオニャオマムアンは、想像していたよりずっと美味しそうだった。食欲をそそるマンゴーの香りもする。しかし、何口か食べてギブアップ。マンゴーはなかなかイケたのだが、炊き立てではないココナッツ味のもち米はもて余してしまった。食べるなら、果物が美味しい季節にホンモノを、が基本のようです。

左:カオニャオマムアンには上のようなインスタント食品まである。本物はパッケージの写真のようなデザートだ。右:インスタント・カオニャオマムアンの出来上がり。芋がゆのように見えるが、真ん中にあるのがフリーズドライのマンゴー。マンゴーと数粒のお米を一緒に食べてみたが、香りで少し“らしさ”を楽しめるものの、美味しいかというと“?”