第105回 タマネギの香りが命? タイのプリン菓子

 「元々、白玉は白色のみだったのですが、カボチャを混ぜて黄色くするなど、今は野菜などを使って色付けや香り付けをしているものも多いんです」とダー先生。どうやらタイ菓子は時代とともにカラフルになっているよう。ちなみに、王宮では、五色の白玉を入れたカラフルなブアローイを作るそうだ。

ブアローイの中でもカボチャを使った「ブアローイファクトーン」(ファクトーンはカボチャの意味)。甘く味付けしたウズラの卵のポーチドエッグをブアローイに入れることもあるそう(写真=タイ教育・文化センター スアンドゥシットラチャパット大学東京校)

 さらに、これまで同センターで作ってきたお菓子の画像を見せてもらうと、一際あでやかなものが目に付いた。「ルークチュップ」(チュップは浸けるという意味)というお菓子だ。

ルークチュップ。家で作るより、出来合いを買ってくるものだそう(写真=タイ教育・文化センター スアンドゥシットラチャパット大学東京校)

 思わず「可愛い!」と声を上げてしまったルークチュップは、ココナッツミルク味の緑豆餡に色を塗り寒天でコーティングをした小さな宮廷菓子。果物や野菜をかたどっていて、ままごと用の食べ物のよう。タイ版練り切りといったところだろうか。練り切りもカラフルだけれど、南国のくっきり鮮やかな色使いは別物。デザートとして食べるのではなく、小腹が空いたときにお茶と一緒につまむようなお菓子だそうだ。

 色へのこだわりが反映されるのはお菓子だけではない。

 料理教室をのぞかせてもらうと、このときのメニューの一つが菊花茶だった。乾燥させた黄色い菊の花を煮出して砂糖を溶かし入れ、氷を入れて冷やして飲むものだが、お茶の色が鮮やかな黄色であることがタイの人の心をくすぐるらしい。そのため、水色をより鮮やかな黄色に色付けするためのクチナシの花が市販のお茶のパッケージに同梱されていたりするのだという。

左が着色用のクチナシ、右が菊花茶。菊花茶は、濃い黄色で形が整っているものがよい茶葉だそう。ただし、不自然に黄色いものは着色している可能性があるという。右:菊花茶をいれたところ。鮮やかな黄色。花の香りがする
菊花茶を作るダムロンティララット・チョンシター先生。鍋で茶葉を煮出し、きれいな黄色に色付いたところで茶葉をこす。授業は食材の切り方を含め、なぜそのように調理をするのかを詳しく説明するなど非常に丁寧な内容だ