第105回 タマネギの香りが命? タイのプリン菓子

タップティムクロープ。タイでも単独ではなく、他のデザートに食材の一つとして使われることも(写真=タイ教育・文化センター スアンドゥシットラチャパット大学東京校)

 タイのお菓子は素朴で地味という先入観があったので衝撃だった。そんなことも頭に浮かんできて、改めて友人にタイのお菓子でなにが一番好きだった?と聞くと彼女は「タップティムクロープ(タップティムはザクロの意味)よ!」と即答。これは、ザクロの粒大に切ったクワイをあでやかな赤に色付け、外側にタピオカ粉をまぶしてゆでて、ココナッツソースと一緒に食べるもの。シャクシャクとした「偽ザクロ」の食感が楽しいデザートだ。

 別の東南アジアの国で食べたかき氷やおしるこ風のデザートにこれが何粒か入っていたことがある。彩りがきれいな上に食感がよく「これをもっと食べたい!」と思ったものだが、タイではタップティムクロープ単独でデザートになるのか――。
 
 どうやら、タイには思いもよらない美味なるお菓子の世界が広がっているらしい。

 そこで魅惑のタイ菓子の奥義を探るべく、東京・錦糸町のタイ教育・文化センター スアンドゥシットラチャパット大学東京校(以下、タイ教育・文化センター)を訪れた。

 同センターは、由緒あるタイの家政大学スアンドゥシットラチャパット大学の日本校で、大学より講師を招きタイ料理教室を開いている。出迎えてくれたのは、来日4年になるという同大講師のダムロンティララット・チョンシター先生。同センターではダー先生と呼ばれて慕われている女性だ。初心者から上級者まで、様々な層に向けた料理コースを開設している同センターでは、これまで約60種ものお菓子を教室で作ってきたという。

 「タイ料理は辛かったり味が濃かったりするので、最後に甘いデザートで口直しをするんです。だから、献立をたてるときには、必ずデザートを組み合わせるんですよ」とダー先生は教えてくれる。

目にも美しい、魅惑のタイ菓子

 伝統的なタイのお菓子は主にもち米、うるち米、もち米粉、上新粉、ココナッツミルク、砂糖で作られている。これらとフルーツやカボチャ、タロイモなどの野菜を合わせて作ることが多く、特にほとんどのお菓子にココナッツを使う。カラフルに色付けされているものが多いことも、タイ菓子の特徴の一つだ。宮廷文化の影響から、彩りだけでなく形も華やかなお菓子が目に付く

 例えば、タイの代表的なお菓子に「カノムブアローイ」と呼ばれるものがある。カノムとはお菓子で、ブアは蓮、ローイは浮くという意味だ。これは、蓮の実と同じぐらいの大きさの白玉をココナッツミルクに浮かべたもの。ローイには流す、という意味もあり、「悪いことを流してくれる」ということから、お正月に食べることもあるデザートだ。