「あのフェンス、あのウサギよけフェンス沿いに、私たちは収容所から故郷まで歩き通しました。それはそれは長い道のりでした。ずっと低木のやぶに身を隠していたのです」

1600キロの逃避行

 最初は順調だった。ウサギの飼育場に隠れたときには、ウサギを2匹捕まえて、焼いて食べた。雨のおかげで飲み水には困らなかったし、足跡も消えた。途中で出会った2人のアボリジニが食べ物とマッチをくれた。

 農家があれば助けを求めた。3人が脱走したことは広く報じられていたが、白人農家の誰一人として彼女たちを当局に突き出したりはしなかった。食べ物や暖かい服をくれる人もいた。

 しかし、9月の3週目になると、原野での生活による疲れが出てきた。最年少のグレイシーは疲労のあまり、他の2人に背負ってもらうことが増えた。棘だらけの下草のせいで両脚に切り傷ができ、感染症を起こしていた。途中で出会ったアボリジニの女性から、グレイシーの母親が近くのウィルナにきているという話を聞くと、グレイシーは1人で列車に乗り込み、ウィルナを目指した。

 モリーとデイジーの2人は、ジガロング目指して歩き続けた。オーストラリアの夏が近づくにつれて雨が降らなくなった。日に日に暑さが増していったが、1日も早く故郷へ帰るため、移動距離を増やすことにした。

少女たちが歩いたウサギよけフェンス沿いのルート。『本当にあった 奇跡のサバイバル60』より(画像クリックで拡大)

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