第4回 こんなにすごいアルマ望遠鏡

「アルマ望遠鏡が見つけた「惑星のへその緒」──成長中の惑星へ流れ込む大量のガスを発見」(2013年1月)、「アルマ望遠鏡が発見した彗星のゆりかご」(2013年6月)、「アルマ望遠鏡が発見した、赤ちゃん星を包む大きな温かい繭」(2013年10月)、「生まれつつある原始惑星系円盤で劇的な化学変化:かつて太陽系も経験したか?」(2014年2月)といったあたりは、我々の銀河系内の観測だ。惑星、彗星、恒星、いずれにせよ、そのまわりにどんな物質があるのかということも含めて解明している。比較的「近く」の観測に基づいた研究といえる。

アルマ望遠鏡が発見した巨大惑星誕生における「惑星のへその緒」のイメージ図。詳しいプレスリリースはこちら。(画像提供:国立天文台、ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/M. Kornmesser (ESO))(画像クリックで拡大)
アルマ望遠鏡がとらえた「彗星のゆりかご」の様子(想像図)。詳しいプレスリリースはこちら。(画像提供:国立天文台、ESO/L. Calçada)(画像クリックで拡大)
アルマ望遠鏡が発見した「赤ちゃん星を包む大きな温かい繭」(想像図)。生まれたばかりの星を温かく巨大な分子の雲が包んでいる。詳しいプレスリリースはこちら。(画像提供:国立天文台)(画像クリックで拡大)
生まれつつある原始惑星系円盤へとガスが回転しながら落ち込むイメージ図。詳しいプレスリリースはこちら。(画像提供:国立天文台、東京大学)(画像クリックで拡大)

 一方で、「ダストに埋もれた銀河の"人口調査"」(2013年5月)、「アルマ望遠鏡が書き換える、星のベビーブーム史──重力レンズ越しに見るスターバースト銀河と観測史上最も遠い銀河での水の検出」(2013年3月)、「アルマ望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡で迫る宇宙初期の巨大天体ヒミコ」(2013年11月)などは、非常に遠くの銀河を対象としており、宇宙の始原に迫ろうとしている。

巨大天体ヒミコの想像図。原始的なガスが渦巻く中で、3つの星の集団が作られている。詳しいプレスリリースはこちら。(画像提供:国立天文台)(画像クリックで拡大)

 アルマは、これまでありえなかった感度・解像度の干渉計(望遠鏡)であり、「ここぞ」というところに向けて観測すれば、なにがしか大きな発見を得られるのではないかというほどの打率を誇っているのである。

(画像提供:ESO/José Francisco Salgado)(写真クリックで拡大)

つづく

河野孝太郎(こうの こうたろう)

1969年、東京都生まれ。東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センター教授。理学博士。1998年、東京大学大学院理学系研究科博士課程修了後、日本学術振興会特別研究員、国立天文台電波天文学研究系助手などを経て2009年より現職。ミリ波サブミリ波と呼ばれる電磁波の観測に基づき、宇宙におけるさまざまな天体の形成と進化、特に、活動的な銀河の性質や誕生の謎の解明を主なテーマとしている。

川端裕人(かわばた ひろと)

1964年、兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。文筆家。小説作品に、少年たちの川をめぐる物語『川の名前』(ハヤカワ文庫JA)、感染症制圧の10日間を描いた小説『エピデミック』(角川文庫)、数学史上最大の難問に挑む少年少女を描いたファンタジー『算数宇宙の冒険・アリスメトリック!』(実業之日本社文庫)など。ノンフィクションに、自身の体験を元にした『PTA再活用論 ──悩ましき現実を超えて』(中公新書クラレ)、アメリカの動物園をめぐる『動物園にできること』(文春文庫)などがある。サッカー小説『銀河のワールドカップ』『風のダンデライオン 銀河のワールドカップ ガールズ』(ともに集英社文庫)はNHKでアニメ化され、「銀河へキックオフ」として放送された。近著は、天気を「よむ」不思議な能力をもつ一族をめぐる、壮大な“気象科学エンタメ”小説『雲の王』(集英社)(『雲の王』特設サイトはこちら)、中学生になったリョウが世界を飛び回りつつ成長する姿を描いた切なくもきらめく青春物語『リョウ&ナオ』(光村図書出版)、本連載の「睡眠学」の回に書き下ろしと修正を加えてまとめたノンフィクション『8時間睡眠のウソ。 ――日本人の眠り、8つの新常識』(日経BP)など。
ブログ「リヴァイアさん、日々のわざ」。ツイッターアカウント@Rsider