「──銀河の中心部(バルジ)には、ブラックホールがあることが多くて、NGC1097にもあることは既に分かっていました。河野先生たちの以前の研究で、シアン化水素がこのブラックホールの周りで非常に強く光っているってことは、分かっていました。ただ、その原因が何かが全くわからなくて、それを調べたかったというのがまず最初です」

「──いろいろ解析をした結果、端的に言うと、シアン化水素(HCN)の量が増えているというのが今回の研究の結果です。ブラックホールの近くでシアン化水素がたくさん作られているから強く光る。ただどれだけ作られるかという絶対量を求めるのは難しいので、ほかの物質と比較しました。ホルミルイオン(HCO+)ですとか、硫化炭素分子(CS)ですとか。ブラックホールの近くでだけ、シアン化水素が相対的にたくさん作られていると」

 さらに、ミリ波・サブミリ波が、宇宙のダストをものともせず、中を見渡すことができる性質を利用して、どのあたりでシアン化水素が生成されているかを特定した。

左がNGC 1097の可視光写真。右がアルマ望遠鏡を用いて中心領域(半径2100光年)をサブミリ波で観測した結果(疑似カラー表示)で、リング状の爆発的星形成領域と、中心の超巨大ブラックホール近傍に存在する塵の放射が描き出されている。中心の★印は主に星形成活動の近赤外線放射のピーク位置を、十印は活動的な超巨大ブラックホール領域からの波長6cmの放射のピーク位置を示す。アルマ望遠鏡で観測したサブミリ波放射のピークと、6cm電波放射のピークはよく一致しており、正確にブラックホール周辺領域からの放射を観測できていることが分かる。(画像提供:ESO、ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)、泉拓磨)(画像クリックで拡大)
アルマ望遠鏡で得たサブミリ波放射のピーク地点で採取したスペクトル。横軸が周波数、縦軸が電波強度。硫化炭素分子(CS:青)の周波数で信号が検出されず、シアン化水素(HCN:黄)やホルミルイオン (HCO+:緑)、一酸化炭素分子(CO:紫)からの強い放射が検出された。(画像提供:泉拓磨)(画像クリックで拡大)

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