第2回 大学院生が超巨大ブラックホールで新発見!

 なお、ブラックホールというのは、非常に重たすぎて、その重力から光すら逃れなれなくなった天体だ。太陽の数10倍以上の質量を持った恒星が、超新星になった後に残った核が自らの重力に耐えきれずに収縮して(重力崩壊)できると一般には言われている。この状態のブラックホールは恒星質量ブラックホールとも言われる。

 一方、銀河の中心のブラックホールは、スーパーマッシヴ・ブラックホール(超巨大ブラックホール)といって、太陽の数百万倍から数億倍もの重さになっている。恒星質量のものと比べると非常に重たいわけだが、それにしても2桁以上の違いがあって、比較的軽めのものから非常に重たいものまで分布していることに留意。

「──銀河の中心のブラックホールはたくさん見つかっていて、母体になる銀河が重ければ重いほど、真ん中にあるブラックホールも重いというような関係が見つかっています。あたり前のようにも聞こえるかもしれませんが、実はすごい不思議なことで、別に大きい銀河に小さいブラックホールがあってもいいわけです。なぜそういう関係性が出るのかっていうのは全くわかっていないのが現状です」

「──それを調べるにはたくさんのブラックホールを観測しなければなりません。実は、ブラックホール自体も時間によって進化すると考えられていて、非常に活発な時期と、そうじゃなくてもう死んだような状態になってる時期があるらしいんです。様々な活動段階のものを観測することが非常に重要になるわけですが、残念ながら、非常に活発なブラックホールですと、物をたくさん吸いながら、周りにガスとか宇宙空間の塵、ダストがまとわり付いているので、可視光や赤外線、X線ですら、全く見えなくなってしまう可能性があります。ダストに吸収されないミリ波・サブミリ波で、いくつものブラックホールを詳しく調べると、ブラックホールと銀河がどうやって共進化してきたのかという問題が解決できると思うんです」

 ブラックホールと銀河の共進化を解明する!

 なんとも壮大な解明への道筋が、アルマの観測が始まったばかりの今、大学院生によって、夢一杯に語られる。なかなかすごいことになってきた!

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つづく

河野孝太郎(こうの こうたろう)

1969年、東京都生まれ。東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センター教授。理学博士。1998年、東京大学大学院理学系研究科博士課程修了後、日本学術振興会特別研究員、国立天文台電波天文学研究系助手などを経て2009年より現職。ミリ波サブミリ波と呼ばれる電磁波の観測に基づき、宇宙におけるさまざまな天体の形成と進化、特に、活動的な銀河の性質や誕生の謎の解明を主なテーマとしている。

川端裕人(かわばた ひろと)

1964年、兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。文筆家。小説作品に、少年たちの川をめぐる物語『川の名前』(ハヤカワ文庫JA)、感染症制圧の10日間を描いた小説『エピデミック』(角川文庫)、数学史上最大の難問に挑む少年少女を描いたファンタジー『算数宇宙の冒険・アリスメトリック!』(実業之日本社文庫)など。ノンフィクションに、自身の体験を元にした『PTA再活用論 ──悩ましき現実を超えて』(中公新書クラレ)、アメリカの動物園をめぐる『動物園にできること』(文春文庫)などがある。サッカー小説『銀河のワールドカップ』『風のダンデライオン 銀河のワールドカップ ガールズ』(ともに集英社文庫)はNHKでアニメ化され、「銀河へキックオフ」として放送された。近著は、天気を「よむ」不思議な能力をもつ一族をめぐる、壮大な“気象科学エンタメ”小説『雲の王』(集英社)(『雲の王』特設サイトはこちら)、中学生になったリョウが世界を飛び回りつつ成長する姿を描いた切なくもきらめく青春物語『リョウ&ナオ』(光村図書出版)、本連載の「睡眠学」の回に書き下ろしと修正を加えてまとめたノンフィクション『8時間睡眠のウソ。 ――日本人の眠り、8つの新常識』(日経BP)など。
ブログ「リヴァイアさん、日々のわざ」。ツイッターアカウント@Rsider