第1回 アルマ望遠鏡でブラックホールの謎に挑む

 口径8.2メートルもの巨大な反射鏡で可視光や赤外線を集めて見ることができる「すばる望遠鏡」は、報道などを通じて一般にもよく知られている。ハワイ島のマウナケア山の山頂、標高4200メートルの地点で、各国の望遠鏡群の中にたたずむ姿を写真で見たことがある人も多いだろう。1999年の「ファーストライト」より、日本の天文学を象徴し、牽引する存在だ。この連載では、太陽系外の惑星をみつける田村元秀東京大学大学院教授の研究を紹介したことがある。

(画像提供:国立天文台、ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), W.Garnier (ALMA))(写真クリックで拡大)

 一方、チリのアタカマ砂漠の5000メートルもの高地に設置され、2011年から初期科学運用が始まっている「アルマ」(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(Atacama Large Millimeter/submillimeter Array: ALMA)は、日本が主導的な役割を果たす国際的な観測施設であり、すばる望遠鏡と並ぶ「ダブル・エース」と期待されているものの、まだ、それほど知名度が上がっていない。

 理由は、たぶん、2つ。

 1つは、まだ「建設しながら観測する」段階であること。2013年3月に「開所式」を行って、科学観測の本格運用を宣言したが、なんとなく「未完成」のイメージが報道する側にもあるのではないか。

 もう1つは、「ミリ波サブミリ波干渉計」という耳慣れない方式の「望遠鏡」であり、光学望遠鏡のすばるのような直観的理解が難しいこと。

 しかし、今後、大いに観測成果が期待でき、まだ施設が「完全形」なっていない現時点でも、目を瞠る成果が矢継ぎ早に出されている。実は、ぼく自身「ミリ波サブミリ波」の観測について少し触れる機会もあり(既出の研究室訪問では「宇宙ベンチャー」高橋有希さんが学生時代に南極に設置したのがミリ波望遠鏡だった。彼は、宇宙の始原を探究するために「原始重力波によるBモード偏光」を探し求めていた)、その射程に関心を抱いていた。アルマの計画の最初期からかかわり、観測開始後、先進的な研究成果を発表している東京大学大学院理学系研究科附属・天文学教育研究センターの河野孝太郎教授を訪ねた。

(画像提供:ESO/José Francisco Salgado)(写真クリックで拡大)

本誌2014年3月号でも特集「星を食らうブラックホール」を掲載しています。Webでの紹介記事はこちら。フォトギャラリーはこちらです。ぜひあわせてご覧ください。

『8時間睡眠のウソ。
日本人の眠り、8つの新常識』

著者:川端裕人、三島和夫
睡眠の都市伝説を打ち破り、大きな反響を呼んだ本連載の「睡眠学」の回が、追加取材による書き下ろしと修正を加えて単行本になりました! 日々のパフォーマンスを向上させたい人はもちろん、子育てから高齢者の認知症のケアまでを網羅した睡眠本の決定版。睡眠に悩むもそうでない方も、本書を読んでぜひ理想の睡眠を手に入れてください。
アマゾンでの購入はこちら