相変わらず沼のまわりにはワニだらけ。体重50キロにもなるブタみたいに大きい世界最大のネズミ(食べるとおいしい)カピバラには必ず共生している小鳥がいてカピバラの背中にとまっていたりする。

 コンゴウインコ、オオハシ、アオサギ、ゴイサギ、トキ、サケビドリ、ハチドリ、カワセミなどの野鳥をいたるところで見る。鳥好きの人はマバタキしているヒマもないだろう。コウノトリの親子がとまっている木の下にはワニがうじゃうじゃ。アナコンダの子供(2.5メートルはある)もいる。2メートルもあるオオアリクイが優雅にナックル歩行で(手の甲を下にむけている)走りすぎる。アメリカの牛追いとちがってパンタナールは動物王国だから展開していく風景が楽しい。

 全体のチームワークがだいぶできてきたのでピヨン(ブラジルのカウボーイ)同志ではちょっとした会話がかわされた。

 はじめてピヨンらの日当が15レアルであることを知った。邦貨で600円である。単純には比較できないだろうが、日本の学生アルバイトの1時間分にもみたないのではないだろうか。

 責任ある仕事についているリーダー株には歩合がつく。小さなホルンのような楽器を要所要所で吹きならす副隊長格の陽気なブラジル版クリント・イーストウッドは、ぼくを見つけると時々馬で駆けつけてきて「おい、サムライよ、まだへこたれないか」などというようなことを言っているようだった。ポルトガル語だからさっぱりわからないが、こういう気の抜けない現場での会話はある程度気分でわかる。夕方4時には最初の宿泊地に着いた。

 パンタナール一帯には猛毒のジャララカという蛇がいる。こういう人間や食料の滓が集まるところは注意しろ、と言われた。だからピヨンたちはみんなそのあたりの木を使ってハンモックで眠る。

 1日馬に乗っていると、馬から降りたあと完全にガニマタ化しているのがわかる。とてもまっすぐスタスタ歩けるような状態ではなくガニマタ横揺れ歩行だ。

 これは自分でもびっくりするくらいのタッタ1日の体型変化だ。もっともそれはこの仕事のあいだだけだろうけれど。

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