第19回 食べ方が難しい!チュニジア伝統食

 日本列島が記録的な大雪に見舞われる中、北アフリカの一国で春の訪れを感じさせる出来事が起こっていた。1月26日にチュニジアで民主化に向けた新憲法が承認されたというのだ。2011年初頭から中東・北アフリカの国々で本格化した民主化運動「アラブの春」は、その多くが難航している。しかし、基本的人権の尊重、表現や信教の自由、男女平等を謳ったチュニジアの新憲法は、民主化成功への道を指し示すものとなった。

 そもそもアラブの春も、チュニジアの失業中の青年が路上販売の取り締まりに抗議して焼身自殺を図った事件がきっかけだ。その直後に国内各地で大規模なデモが起こり、独裁政権が崩壊した。19世紀中頃に西欧化を図り、フランスの支配を受けていた時期もあるからか、チュニジアはアラブ世界の中では女性の地位が高い。EU諸国との貿易もさかんで比較的リベラルな社会であることが、他国に先駆けて民主化が進む理由だろうか。

 そんなことを考えてみるものの、私が行き着くところはやっぱり食。自由で勢いがあるチュニジア人のソウルフード、なんだかパンチがありそうじゃないか。そこで、チュニジア共和国大使館から在日チュニジア人の女性を紹介いただき、話を伺う機会を得た。待ち合わせはJR総武線の大久保駅に程近いチュニジア料理レストラン「ラジュール」だ。

 「チュニジアンブルー」と呼ばれる鮮やかな青い壁の店内で迎えてくれたのはラリビ・ベスマさんとハジリ・モラドさん。ベスマさんは東京農業大学で英語を教えるほか、チュニジアの料理や踊りの教室も開いている多才な女性。モラドさんはラジュールの店主で、ベスマさんは時々この店にチュニジア料理を食べにくるという。

ベスマさん(左)はチュニス出身で1998年に来日した。いっぽう、ホテルマンをしていたモラドさんは留学していたお兄さんの影響で日本に興味を持って10年以上前に来日、店をオープンして8年になる