第79話 絶句! 孤立無援の救出劇……

 方法は、2つしかない。

 1つは、誰かが山を登って車で救助を求めに行く。

 その間、残った者が骨折者と共にいて世話をするという案だ。

 しかしこれは、時間がかかり過ぎる。

 山を登るのに1時間、車で携帯電話がつながる街まで出るのに2時間、折り返し救助に来るのにヘリコプターでも1時間はかかるだろう。

 そうなると、完全に日没を迎えて、ヘリコプターでの夜間救助は困難になり翌朝を待つことになるかもしれない。

 そうすると、森の中で1夜を過ごさなければならなくなる。

 もう1つの方法は、私たちで運ぶというものだった。

 ところが、骨折者は身長180センチ以上の長身。

 細身だが、成人男性の重みのあるアメリカ人である。

 しかも、全体重を預けることになる怪我人を橇で引っ張りながら、急な山道を登らなければならないとなると、プロの救助隊でも難しいことだ。

 そんな私たちの背中を押したのは、他ならぬ、骨折した本人だった。

 彼は、冷静な声で言った。

「君たちが、私を運んで山を登るしかないのだよ……」と。