第4回 偉業を成し遂げたチームの根っこ

2013年5月23日、エベレスト山頂(8848m)にて雄一郎。(写真クリックで拡大)

 80歳でのエベレスト登頂――。2009年に公言した雄一郎の目標は見事に成し遂げられた。

 思えば、出発直前には心臓手術が重なり、いつプロジェクト中止という決断がなされてもおかしくはなかった。豪太曰く、「父が止めると言わないから(笑)」。雄一郎曰く、「絶対できると思っていたから」。いずれにしても遠征は予定通りに決行された。よりどころは雄一郎の固い決心だった。

「結構予定は変更され、メンバーは初顔合わせに近い。それでいて遠征中は笑いが絶えなかったというのは、奇跡に近い状況だった」

 豪太がそう語るのも無理はなかった。

 とはいえ、すべての行程で何のトラブルもなかったわけではない。実際、豪太は「登りは問題なかった。でも下りは……」と苦笑いを浮かべる。

 そのあたりは雄一郎自身も十分に理解していた。

「トレーニング不足を登りではごまかせても、下りはごまかせない。下りのほうがものすごく負荷が大きいし、ゆっくり食事をしたり、水分を摂ったりということもまずできないから。だから、下りはなりふり構わず、120%安全に這いつくばるようにして下りたので、通常の5倍くらいの時間がかかっていますよね」