第2回 秘策「年寄り半日仕事」の本当の意味

ヒマラヤの夜景。手が届くのではと思うほど満天の星が煌めく。(写真クリックで拡大)

 80歳でのエベレスト登頂。それが決して簡単な挑戦でないことは言うまでもない。若い登山家たちと同じやり方で挑むことは得策ではない。ならばどうするか。

 「MIURAエベレスト2013」が選んだ秘策。それは、1日に登る距離を短くすること。雄一郎の表現を借りれば、「年寄り半日仕事」だった。

 雄一郎も豪太も、登山前には毎回必ず、鹿児島県の鹿屋体育大学で体力測定を行っている。そこで肉体的な変化を細かくチェックするのだ。当然、80歳ともなれば、より慎重に変化を探る必要があった。

 さすがと言うべきか、幸いなことに雄一郎は80歳にしてなお、筋力に優れていた。背筋力と脚力に関しては20歳の平均値を上回るほどで、骨盤骨折から来る不安をまったく感じさせなかった。

 しかし、その一方で不安要素もはっきりしていた。肺活量と、それにともなう持久力である。

「でも、これを鍛える時間はもうない」と豪太。「そこで前年12月の時点で決めたのが、年寄り半日仕事のプランでした」