このロッジでは、わざわざ寝ないでオーロラを待たなくても、遭遇するチャンスはいくらでもあるのだ。

 言ってみれば、毎晩私は、オーロラがよく出る時間帯と言われている夜中の2時や3時に、寝床から起き出して外に出ているのだ。

 それはなぜかと言うと、私は決まって夜中にトイレに行くタイプだからである。

 このロッジの中には、トイレが作られておらず、用を足すには、アウトハウスと呼ばれる外の厠に行かなければならない。

 ロッジの玄関を出て、寒空の中を15歩ほど歩くとあるのだが、その間に、オーロラに遭遇する可能性だって大いにあるのだ。

 が、一度も見ていない。

 この時間帯にトイレに起きると、ほとんど寝ぼけているし、ましてや、尿意を我慢しているにもかかわらず、寒さ突き刺さるマイナスの世界に出て行かなければならないのである。

 だから、はっきり言ってオーロラどころではない。

 まあ、出すものを出してしまえば、あとは爽やかに夜空を見上げればいいじゃないか、と思うかもしれないが、これまたカチンカチンの凍てつく厠の中でお尻を出したあとというのは、そんなロマンチック気分で鑑賞する気も起こらないというもの。

 とっとと用を済ませて、そそくさと部屋に戻って、ベッドにもぐり込みたいというのが、誰しもが持つ心情だ。

(写真クリックで拡大)

この連載の前回の
記事を見る

この連載の次の
記事を見る