寝た。

 日本人なら、オーロラ見るぞ! と目の色を変えた私だったけれど、日中の疲れには敵わず瞼が落ちてしまった。

「だって、オーロラが出る保証なんて、どこにもないんだもん……」

 と、意外にも軟弱な私は、次の朝、オーロラどうだった? と尋ねてきたトーニャに、あれこれと言い訳をしていた。

 当初、私の軟弱さを笑っていたトーニャも、次第に真剣な顔になって、「あなたが寝たのは、正解だったのよ」と眉をそびやかした。

 と言うのも、このミンチュミナという場所は、オーロラ出現率がかなり低い。

 もちろんオーロラが出る範囲ではあるけれど、緯度にすると少し南過ぎるのだ。

 だから寝ないでオーロラを待つなんて、はっきり言って体に悪い。

 トーニャは、きっぱりと私に言った。

「寝不足は、禁物よ!」

 確かにそうだ。寝不足は女性の天敵。それどころか、トーニャも私も、夜更かしが体にこたえる年齢なのだ。

「オーロラと言うものは、わざわざ寝ないで見るものじゃないのよ」

 アラスカで生まれて、アラスカで暮らしてきたトーニャは、やはりそう言う。

 それにしても、考えてみると不思議である。

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