第6回 写真家が語る「おしゃれなカラス」の魅力!

1月30日に開催された、自然写真家ティム・レイマンさんのトークイベント。極楽鳥の写真や映像がたっぷり紹介され、会場は熱気に包まれた。
写真:的野弘路(写真クリックで拡大)

 去る1月30日、極楽鳥(フウチョウ科)全39種の写真を撮った自然写真家、ティム・レイマンさんのトークイベントが東京・品川で開催されました! 今回はそのときの様子を紹介します。

 実はティムさんは日本で生まれ、東京や佐世保、神戸などで18歳まで過ごしました。ですので、ところどころ通訳に手伝ってもらいながらも、講演はほとんどすべて日本語! ご来場くださったみなさんも、ぐっと親近感が湧いたようでした。

 講演は、写真と映像を使った極楽鳥の紹介はもちろん、この「極楽鳥プロジェクト」を始めたきっかけから、全39種を記録する企画に発展した経緯、撮影中の苦労話まで、多岐にわたりました。

 2003年に始めたこの企画、初めはナショナル ジオグラフィック誌に掲載する特集のために、面白いものだけを撮影するつもりだったそうです。ところが、最初の3年間で19種(全39種のほぼ半分)を撮影することができたので、企画を一緒に行っていた鳥類学者のエドウィン(エド)・スコールズさんともども「どうにかして全種撮りたい!」と思うようになり、スポンサーを見つけて続けたそう。

 極楽鳥はニューギニア島とその周辺の小さな島々、オーストラリアの北東部にだけ生息する鳥の仲間です。プロジェクトはその各地を、8年間で18回の撮影旅行、51カ所の取材場所を訪ねる壮大なものになりました。講演では、ヘリコプターや小型ボートに乗り、川を渡り、熱帯雨林をかきわけて取材場所まで向かう様子が紹介されましたが、まさに大冒険! ナショジオの写真家は、冒険家でもあるのですね。

 もともとティムさんは、ボルネオ島など熱帯雨林での撮影でツリークライミング(木登り)を得意としていたのですが、今回の企画でもその腕が役に立ったそう。極楽鳥には、木の高い所で雄が雌に求愛する種も多いからです。なんと、登ったいちばん高い木は50メートル! 東京ディズニーランドのシンデレラ城がだいたいそのくらいだそうですから、すごい高さですね。

 講演ではいろいろな極楽鳥が紹介されました。お掃除が上手でバレリーナのようなダンスをする「カンザシフウチョウ」や、羽の色はほぼ真っ黒で地味なのですが、歌がとても上手な「オオウロコフウチョウ」、これぞ極楽鳥!というカラフルでふわふわの羽をもつ「オオフウチョウ」などなど。どの極楽鳥の雄も一生懸命、あの手この手で雌にアピールするのですが、交尾にまで至る成功率はとても低いそうです。なんだか切ないですね。

 そしてもう一つ意外だったのは、こんなにいろいろな色や形の種がいる極楽鳥、実はカラスにとても近縁な鳥なのだそう! たしかに極楽鳥全39種の写真を並べてみると、羽の色がほぼ真っ黒で、地味な種もかなりいます。ティムさんは「おしゃれなカラス」と呼んでいましたが、まさに言い得て妙! ティムさんとエドさんが作ってくれた、極楽鳥全39種をまとめたこちらの映像を見れば、「おしゃれなカラス」を実感できるのではないかと思います。

 今回でこの極楽鳥の連載は終わりです。紹介した極楽鳥はわずか4種と、39種いる極楽鳥のたった1割。まだまだいろいろな極楽鳥がいます! 極楽鳥のことをもっとよく知りたい方は、ぜひ本『極楽鳥 全種』(36点もの動画が見られる再生用QRコードも掲載!)とDVD「極楽鳥 魅惑の求愛ダンス」をご覧ください。ご愛読ありがとうございました。


書籍『極楽鳥 全種』(ティム・レイマン、エドウィン・スコールズ著、黒沢令子訳、日経ナショナル ジオグラフィック社)

ピュリツァー賞を受賞した世界的ベストセラー『銃・病原菌・鉄』の著者、ジャレド・ダイアモンド教授も夢中! 鮮やかな極彩色の装いに、奇抜なデザインの飾り羽、コミカルな求愛ダンス――そんな極楽鳥全39種の野生の姿を完全収録した写真集! 極楽鳥研究の第一人者だからこそ撮影できた美しく貴重な写真とともに、魅力的で興味の尽きない生態をたっぷりと楽しめる1冊です。36点もの愉快な求愛ダンスを見られる動画再生用QRコードも掲載しています!

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DVD「極楽鳥 魅惑の求愛ダンス」

ナショジオ本誌でもおなじみの自然写真家ティム・レイマンと、鳥類学者エドウィン・スコールズが、8年の歳月をかけて撮影した極楽鳥全39種。この撮影調査に密着した貴重な映像が楽しめるDVDです。ダンスの名手カンザシフウチョウや、逆さまに踊るオナガフウチョウ、色は地味でも歌が上手なカラスフウチョウ……芸達者な極楽鳥たちの情熱的な求愛ダンスも必見です!

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