第4回 薬も遺伝子操作も使わない「情報医療」とは

「さっき、この部屋の環境音をなくしたら、急に圧迫感みたいなものを感じましたよね。昔、熱帯雨林にいた生物にとっては、何かの危険が迫ってたりすると、ぱっと音がやんで、警告反応みたいなものを起こしちゃうんじゃないかと。高周波音があるのがベースだとしたら、音がなくなることのほうがむしろシグナルとしては強く作用して、それが慢性的に続くと、ストレス反応みたいなものに近づいたりとかしていかないかと……」

「人間は、森から出て都市とか文明をつくってから、もうずいぶんたっているから、今の環境に適応できているんじゃないかとか、いろんな考え方はあると思うし、僕も、まあそれは一理あると思うんですね。ただ、その環境に適応し得ると考えていいのか、適応できないと考えたほうが安全なのか。考え方の問題だとも思います」

 そのようなわけで、「疾病研究第七部」の部長である本田さんは、ハイパーソニック・サウンドのない現代社会に生きる我々が抱えている問題に注目している。

「今、日本では、交通事故なんかより、6倍も多くの人が自殺で命を落としています。こんなに自殺が増えると、敵は内側にあるみたいな感じになってくるわけです。昔の医学は、命を脅かすものは外からくると考えていました。怪我や感染症など。今ももちろんありますが、かなり退治できた部分もある。でも、それとは別に、自殺の最大の要因になるうつ病ですとか、みずから変調を起こして、精神と行動の異常をきたして崩壊していくプロセスが、結構あるわけです」

 ここで登場するのが「情報医療」のコンセプトだ。