第3回 ピアノが高周波音を出さず、チェンバロが出すのはなぜなのか

 ガムランが好きな人は大いに喜んで聴けばよい。ただ、もっと身近なところで、良好な高周波音を含んだ音楽はあるだろうか。楽器レベルで考えてみる。

 身近な楽器として最初に思い浮かべたのは、ピアノだ。

(写真クリックで拡大)

「それが、ピアノはダメなんですよ」と本田さん。

「ピアノは10キロヘルツぐらいまでしか入ってないんです。でもピアノの原型といわれる、チェンバロは100キロへルツ近くまで、豊かな高周波音を含んでいます。鳥の羽毛で弦をこすって音を出すので倍音成分がすごく多いんですね。そのかわり、音量は大したことがない。だからバロックなんかで、何10人の楽団が1人の王様に聴かせるみたいな音楽には適しているわけです。一方、ピアノは、弦をハンマーで叩いて音を出して、聞こえる音のところにエネルギーを集中させることにより、たった1人で5000人の聴衆を同時に楽しませることができるわけですね」

(写真クリックで拡大)

 というわけで、残念ながらピアノの演奏は、たとえ生で聞いても、高周波音は期待できないようだ。一方、チェンバロの演奏については、なかなか聴く機会がないのが残念。ぼくの好みの方面では、90年代にキース・ジャレットが、バッハのゴルトベルク変奏曲をチェンバロで録音しているのを思い出した。自分のiTunesライブラリの中にも入っているが、これはエンコードが高周波音を考慮していないのでダメ。そもそも音楽CDから取り込んだものだから、さらに論外。リマスターして最近流行しているいわゆるハイレゾ(ハイレゾリューション)配信などしてもらい、超高音域対応のスーパーツイーターを使ったオーディオシステムがあれば、高周波音をカットされていないゴルトベルク変奏曲を楽しめるだろうに、と少し妄想してしまった(グレン・グールドが生きていたら、ぜひ3回目の録音をチェンバロで……とさらに妄想してしまったことも付け加えておく)。

 では、ほかの楽器はどうか。