写真: Marco Grob

 カナダのユーコン準州の美しさに魅せられ、雄大な山々や氷河を撮影したいと思っていた写真家ニックレン(右)。しかし、2011年にこの地域で鉱山の開発ラッシュが始まると、テーマが一変した。「美しい風景を描く記事から、開発の現実を伝える記事になりました」

 ニックレンは、ホテルやバーで鉱山労働者の話に耳を傾けた。鉱山以外では原野や野生動物にレンズを向けた。クマを撮るときには冷たい川に入り、自動でシャッターが切れるカメラを設置した。川にサケを捕まえに来る姿はよく見かけたが、クマがようやくカメラに近づいてくれたのは、設置して15日がたってからだ。

 クマが立ち去ると、ニックレンは氷点下の寒さで凍っていたドライスーツを、まず足で踏みつけて氷を落としてから着用し、川に入ってカメラを回収した。最後の一枚がとらえていたのが、好奇心旺盛なハイイログマの表情だ。

――ダニエル・ストーン