第75話 その直感が、答えなのよ。
トーニャは一応、回り道ができないかと道を探しに行ったが、結局登るしかないと結論づけて戻ってきた。
挑戦がまたはじまる。しかも、さらに難度の高い挑戦だ……。
私は酷く疲労感を覚えていたが、それを押し切って、その段差の高さを確認しに行った。
見上げると、首が痛くなるほど勾配がキツい。
これは、不可能だ……。
私は、断崖絶壁を見上げているような気分に陥った。
トーニャは犬たちの配列を変えて、比較的頑丈な体つきのものを前のほうにつなぎ替えた。
先頭を行く犬たちの踏ん張りが勝負どころと考えたのだ。
しかしながら、やはりこの壁は容易にはいかなかった。
トーニャも犬たちも、最初の勾配を登れずに、へばりついただけで結局戻ってきた。
間髪入れずに、私も走った。
片足に指がないアーセルは、そのまま橇の根元に残した。
トーニャが言うには、アーセルは指がなくても肩が強いので、頼れる力持ちなのだという。
それを聞いて、私はますますアーセルを頼りにした。
が、先陣を切ったトーニャたちが敗走を余儀なくされたように、私たちも、はじき返されるように、すぐにも崩れ落ちた。
これは、さっきのようにはいかない。
原因は、傾斜の角度のキツさや高さではなく、犬たちも私も、気力が萎えてしまっていることだった。
さきほどの難関で、私たちはほとんど燃え尽きてしまっていたのだ。
さて……、こういった場合どうするべきか……。