先発隊というのは、つまり、防除のためのチームのことだ。この季節、常時15チーム以上が、砂漠を走り回り、群生相の幼虫を探している。そして、防除する。前野さんが「国立サバクトビバッタ研究所」と訳している研究所の主目的は、飢饉に直結しかねないサバクトビバッタの大発生の抑制であり、字義通りに訳すと「国立・対バッタ類防御センター」みたいな含みだ。

 前野さんは、防除チームから本部に無線で入る情報を得て、どの地域に調査しに行くかを決めている。この日、ぼくたちが見たバッタの群れは、翌日には防除されてしまう予定のものだった。そういう意味では、かなりピンポイントのタイミングで、あの「マーチング・バンド」に出会えたことになる。

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 防除チームは、今、この地域の群れを重く見ているらしく、3チームが合同でキャンプを張っていた。我々も同じところにテントを張った。と主語を「我々」とするのが申し訳ないくらいだった。前野さんに連れられて防除チームに挨拶しにいっている間にもう設置は終わっていた。助手チームは実に手早い。

 なお、防除活動については、次回、述べることにして、ぼくと前野さんはラクダ肉の煮込み(結構脂身がこってり)をライスにぶっかけた夕食の後、ドライバーのティジャニに「ラクダのミルク」(文字通り野趣あふれる風味)を勧められたりしつつ、そのまま夜の観察へ!

「夜間観察は眠るのを忘れちゃうので危険ッス」と前野さんが言う通り、サハラ砂漠の夜はワンダーランドだ。昼間よりもたくさんの生き物がここぞとばかりにあらわれる。それでも、我々の主たる関心は、サバクトビバッタ。夜になるとやつらは「シェルター」に集まってくる。それが、この日この地域の場合、つんつんしたイネ科植物、パニカムだった。

 それにしてもたくさんいるものだ。これだけ多いと、稔った稲穂、いや黄金色に色づいた麦の穂のように見える。

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