落ちて横倒しになった橇を起こし、滑り落ちてラインに絡まっている犬たちを解くと、私は再び雪のなかに倒れ込んだ。
どうしてトーニャにできて、私にはできなかったのだろう?
私は雪にまみれながら考えた。
「勢い不足か?」
「パワー不足か?」
「それとも、足場の踏み方が悪いのか?」
上から私の失敗を見ていたトーニャにも、その原因を尋ねてみたが、彼女も「う~ん」と考え込んでいた。
ふと犬たちの様子を見ると、酷く疲労しているようで、荒い息を吐いて、へたるように座り込んでいる。
犬たちがガブリ、ガブリと雪を口のなかに入れて、喉の渇きを癒しているのを見て、私も橇の中から水筒を出して、水分を補給することにした。
犬たちの息が落ち着くまでは、しばらくの間休憩をとることにして、私は犬たちのそばに腰を下ろした。
トーニャがせっかく上がった斜面を滑り降りてきて、犬たちの体のチェックをする。
なにも問題がないことを確認すると、彼女も私の横に座った。
「たぶん……、これは攻略法を考えても無駄だよね……」
私はぼそっと言った。
「そうね……、頭で考えることではなくて、なんと言うか……、やっぱり犬たちとマッシャーの力を1つにすることじゃない?」
トーニャはそう言った。
確かに、考えても答えが見つからないような斜面なのだ。