第2回 サバクトビバッタとは何者か

 サバクトビバッタ、という昆虫は、今、サブカルチャー的に著名かもしれない。

 人気コミックでサバクトビバッタの能力を持った人間が活躍するものもあるのだが、それ以上に、ある特定の人物が引き起こしたムーブメントの勢いがとまらない感がある。

「バッタ博士」こと、前野ウルド浩太郎。ウルドは、目下、研究の拠点を置いているモーリタニアで名付けられたローカルネームであり、論文を発表する時の名前でもある。

 前野さんのブログ「砂漠のリアルムシキング」は2011年にポスドク(博士研究員)として、モーリタニアに向かう直前に始められ、現在も続いている。独特の諧謔を交えた(自虐的ともいえる)語り口が人気を博し、多くの人の目に触れてきた。著書『孤独なバッタが群れるとき』(東海大学出版会)では、主に大学院に入ってから博士号取得前後の研究室でのサバクトビバッタ飼育と実験、成果について語りつつも、やはり抱腹絶倒の筆力で学問の現場からの報告をエンタテインメントとして成立させた。そのようなわけで、今、日本語でサバクトビバッタについて何かを書こうとすると、まずは前野さんに言及することになる。

 それでも、やはり最初に押さえておかなければならないのは、サバクトビバッタという昆虫そのもののことだ。そいつは、どんな奴なのか。

前野ウルド浩太郎さん。著書『孤独なバッタが群れるとき』(東海大学出版会)と自身によるブログ「砂漠のリアルムシキング」も大好評。(写真クリックで拡大)

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