西アフリカ諸国へのハブになっているモロッコのカサブランカ空港から、モーリタニアの首都ヌアクショットへの便は深夜12時近くに到着する。

 砂漠の国へやってきたと思いきや、機外に出た瞬間、空気が湿っていることに気づいた。それどころか、飛行機から降りてターミナルまで歩く間に、ぽつりと1滴頬に雨粒を感じた。

 英語が通じにくいフランス語圏で、なおかつ厳格なイスラム国家。入国はそれなりに厳重で、目的は何かとか、アルコールは持ち込んでいないかとか、などさんざん質問された上で、やっと無事に入国スタンプを押してもらえた。

前野ウルド浩太郎さん。このときは撮影のために、ご自身のブログ「砂漠のリアルムシキング」ではおなじみのモーリタニアの民族衣装を着てくれた。(写真クリックで拡大)

 前野ウルド浩太郎さんが、駐車場で待っていてくれた。いわゆるポスドク(博士研究員)であり、抱腹絶倒のブログ「砂漠のリアルムシキング」や、昆虫研究者の本気と狂気(?)を垣間見せてくれる著作『孤独なバッタが群れるとき』(東海大学出版会)などで知られ、日本ではディープなファンがいる。今、最も認知度が高い、若手昆虫研究者と言って差し支えない。

「きょうは1日雨だったんですよ。自分が来てから3年目ですが、この時期に雨が降るのははじめてですね。こっちの人に聞いても、滅多にないそうです」という。

 ぼくが訪ねたのは11月で、1年の中でも乾燥が強くなりはじめる時期だそうだ。少量の雨が降る7月、8月とは違い、本来降雨はない。事前に前野さんからのメールで「日中は40℃、夜でも20℃くらいの気温です」と言われていたけれど、それよりもずっと涼しい。おまけに湿っている。

 そんなイレギュラーな天気の中で、砂漠らしからぬ砂漠の国への到着となった。

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