第16回 パンチ効きすぎ!エジプトのB級グルメ

 コシャリの店は昔からあるようだが、人気チェーン店の登場など、ファストフード産業としての発展は1990年代に入ってのことだといわれる。70年代の経済改革以降、外資が流入したエジプトでは、90年代になってマクドナルドなどの外資系ファストフード店が次々と開店していった。

 同時に、広義のフェミニズム的価値観が浸透し、女性の社会進出も加速して、それまでタブーとされていた未婚男女のカップルのデートが認められるようになり、そのデートスポットとして清潔でオシャレな店が人気となった。そのような風潮の中でコシャリの専門店も発展を遂げていったのだろう。

 パーティーにきていたエジプト人たちが口を揃えて「コシャリは日本でいえばラーメンのようなものかな」と言っていたが、70年代に外資系ファストフードが日本に参入して以降、ラーメンもまた多様化していまやひとつの文化となったことを考えると、その通りだなと思う。

 自分の皿に盛られたコシャリを平らげ、おかわりをしようと大皿を見るとすでにコシャリはなかった。ファラフェルといい、エジプト人は食べるのが早いようだ……。でも、彼らの食べっぷりは気持ちよかった。「おかわりしそこねたので……ラーメンでも行きますか」とTさん。そうだな、せっかくだし隣町のラーメン激戦区・恵比寿まで今日は歩いて帰ることにしよう。

人口のほとんどがイスラム教徒のエジプトでは酒を飲まない。そのため、短時間でお腹いっぱい食べてからゆっくり過ごすそうだ

中川明紀(なかがわ あき)

講談社で書籍、隔月誌、週刊誌の編集に携わったのち、2013年よりライターとして活動をスタート。何事も経験がモットーで暇さえあれば国内外を歩いて回る。思い出の味はスリランカで現地の友人と出かけたピクニックのお弁当とおばあちゃんのお雑煮