第16回 パンチ効きすぎ!エジプトのB級グルメ

 理化学研究所で働くレハブ・アブドルハミッドさんは、「エジプトを代表する料理として会社の同僚に振る舞ったらすごく喜んでくれて、それ以来、“ファラフェルクイーン”と呼ばれているんですよ」と笑う。

 エジプト人が愛するファラフェルはいったいどんな料理なんだろう。そう思いながら見てまわっていると、入り口近くのキッチン台で「おー、ファラフェルだ!」と歓声が上がった。調理室にはいつの間にか20人くらいの人がいたが、一斉に注目する。そのキッチン台に駆け寄ると、緑色のペーストを5センチほどの丸型に整えて揚げていた。

アフメッドさんは来日8年。エジプトの情勢が落ち着いたら旅行会社をつくって、減ってしまった日本人観光客に再びエジプトの魅力を伝えたいという

 「空豆でつくるんですよ」と教えてくれたのはアフメッド・マームードさん。スエズ運河のほとりにある都市イスマイリア出身で現在はリビア大使館に勤めているという。「空豆はエジプトがある北アフリカ原産と言われていて、エジプトではたくさん食べます。ファラフェルはすり潰した空豆に、ニンニクやコリアンダー、ブラックペッパーなどさまざまな香辛料をいれてつくる揚げ物です。コロッケに近いでしょうか。味付けはもちろん、ゴマをまぶしたり、サンドイッチの具にしたり、ゆで卵を包んだりと、食べ方も人それぞれなんですよ」

 話を聞きながら調理の様子を見ていたが、次々と揚げているのに皿の上は一向に数が増えない。なんと、出来上がったそばからみんなが“つまみ食い”をしているのだ。「これは食べ損ねる!」とTさんが何とか1個だけゲット。「エジプト人が待ちきれない味」を二人で分けて口にいれた。

 こんがりと香ばしく揚がったファラフェルは、香辛料の香りが強いが味はマイルド。空豆の甘みが口に広がり、とてもホッとする味だった。「私の家では毎日食べていました。日本でつくるのは大変だけど、最近は輸入食材店でファラフェルの粉末が売っているので、それを使って時々つくっています」とアフメッドさん。

ファラフェルの専用型を使って次々とサラダ油に落とす。約10分、表面が茶色くなるまでしっかりと揚げる
ゴマをまぶしたファラフェル。周りはカリッとしているが中はふっくらだ
家族でパーティーに参加したレハブさん(写真右)。「ファラフェルは週に4回くらい、朝ご飯で食べていました」とご主人のヘシャム・モハメドさん(中央)