――話は変わりますが、年頭でもありますので、今年の野口さんの抱負を教えてください。

 今年からまたひとつ、ネパールで新しいプロジェクトをスタートさせます。僕たちが学校をつくったマナスルの麓、標高3800mの高地に森をつくるんです。

 マナスルは初登頂したのが日本人で、それ以来、日本の登山者も多く、地元では「ジャパニーズ・マウンテン」と呼ばれるほどです。それが縁で、現地の村に学校をつくるプロジェクトを始めたのですが、今度はそこに森をつくるんです。

 現地で聞いた話では、もともとその一帯は森に覆われていたそうです。しかし、ネパールの人は、木を伐れば伐りっ放し。日本のように、伐ったら植えるという文化がありません。そのため資源が枯渇して、それが生活の困窮にもつながっています。森が復活すれば、失った資源を再び獲得できるし、村に仕事もできるでしょう。

――しかし、標高3800mの高地で、木が育つのですか。

 つくばにある研究機関に相談したら、さっそく現地に調査に行ってくれました。結果は、可能だとのこと。それほどの高地に森を復元することは、世界的にも例がないので、ぜひトライしたいと言ってくれました。夢のある、楽しいプロジェクトになるだろうと期待しています。

(おわり)

(クリックで拡大)

野口健(のぐち けん)

1973年、アメリカ・ボストン生まれ。1999年、七大陸最高峰世界最年少登頂記録を25歳で樹立。2000年から「富士山が変われば日本が変わる」をスローガンに富士山清掃をスタート。他にもシェルパの子女への教育援助、戦没者の遺骨収集など精力的に活動を展開中。主な著書に『落ちこぼれてエベレスト』(集英社)『それでも僕は「現場」に行く』(PHP研究所)、昨年、初の写真集『野口健が見た世界 INTO the WORLD』を刊行。


高橋盛男(たかはし もりお)

1957年、新潟県生まれ。フリーランスライター。自動車専門誌の編集を手がけたのちフリーライターに。JR東日本新幹線車内誌「トランヴェール」、プレジデント社「プレジデント」「プレジデントファミリー」などに執筆。

この連載の前回の
記事を見る