第4回 世の中のB面にこそテーマがある

 イスラエルへ行くと、ユダヤ人とアラブ人の街が決定的に違うんですよ。ユダヤ人の街はきれいで、アラブ人の街はスラム。タクシーの運転手がユダヤ人で、どこから来たと聞くから、父がエジプトから来たというと「アラブ人なんか、皆ぶっ殺してやる」みたいなことを平気で言う。震えあがりました。

 小学4年のときは、ゴラン高原に連れて行かれました。イスラエルとシリアとの国境付近で、道のまわりは中東戦争時代の地雷が残っている地雷原でした。

――子どもを連れて行くようなところじゃないですね。

 そうですよね。子ども心に、どうしてこんなところに連れて来るのかと思いました。

 中学生のときはベルリンにいて、まだ壁があった時代でしたが、父と地下鉄に乗って東側に出ました。何か街の色が西ベルリンと違うんですよ。車はプラモデルみたいでおもちゃっぽいし、壁の近くに衛兵がたくさんいて、彼らの「カツッ、カツッ」というブーツの音が、今も耳に残っています。空も、何となくドヨンとしているように感じる。

「壁ひとつでこうも違うのか」と、子供ながらかなり強烈な印象を受けました。

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