第3回 植村直己に教えられたこと

――高校停学中に読んだ植村直己さんの著書「青春を山に賭けて」に触発されて、登山家を志したそうですね。何が野口さんを突き動かしたのですか。

 学校に馴染めず、勉強もついていけず、挙句の果てに先輩を殴って停学処分。これで完全に落ちこぼれたなと、自分では思っていました。直己さんも著書のなかで、自分は落ちこぼれだというようなことを書いているんです。

 数々の冒険を成し遂げて、世界的にその名を知られる人が、そうおっしゃるのですから、ついわが身と重ねて考えてしまいますよね。

――植村直己さんのどういうところを魅力に感じられたのですか。

 彼は、当初は野心的な冒険家ではなかったと思います。世界中を放浪しながら山登りを続けていくうちに、それが結果として日本初、世界初になったということなのでしょう。

 地味にコツコツ、自分のやりたいことをやっていく人だったのだと思います。その夢の実現に向けた直己さんのしつこさ、くどさに魅せられましたね。