――写真集『野口健が見た世界』には、ヒマラヤ、アフリカ、日本の写真が収められています。「死」がひとつの大きなテーマになっているようですが。

 山登りをする僕たちにとって、死はいつも身近にあるものです。

 エベレストも、1999年に僕が最初に登頂したころまでに1000人くらいの登山家が入山していますが、そのうちの300人くらいが遭難して命を落としています。

 写真集の中にも、白骨化した登山家の写真があります。僕らは山で、そういうのを目にしていますし、自分自身も何度か死にかけています。

――写真集には、雪崩の中から脱出した直後の野口さん自身の写真もある。

 あれは、僕の登山歴の中でも、相当なピンチでした。

 2011年のエベレストでのことです。
 上の方で爆発音のような大きな音がしたかと思うと、大雪崩が真っ直ぐに僕らの隊に向かってきて、一瞬のうちに飲み込まれてしまいました。必死になって雪から這い出した瞬間に、思わず自分に向けてシャッターを押していたらしいのですが、あとで写真を見てびっくりしました。

昨年7月に刊行された野口健さん初の写真集『野口健が見た世界 INTO the WORLD』(集英社インターナショナル)(クリックで拡大)

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