第1回 レンズの向こうのまだ見ぬヒマラヤ

――そうして撮った写真は、どこかで発表しなかったのですか?

 ホームページやツイッター、フェイスブックなどのSNSにアップしていました。たくさんコメントがつくんですよ。それも、今までに味わったことのない楽しみでしたね。そのうちリクエストも来るようにもなりました。

――どういうリクエストですか?

 あの山を撮ってくれとか、こんな風景が見たいとか。「今度は何を撮ろうかな」なんてポロッと書き込むと、ドッとリクエストがくる。

 そんななかに「風を撮ってください」というのもありました。

 風か、おもしろそうだなというので、1カ月くらいかけてトライしました。風は目に見えないから、風によって起きる現象を撮るわけですが、それまで被写体として風を意識したことがなかったんです。

 で、風を見ているとおもしろい。風の動きをどう表現するかですよね。

 ずっと景色を見ていると、夕方、太陽が沈む直前に気流が荒れて、雲がさまざまに形を変える。日没間際、空の色が刻々と変わっていく景色も美しいとわかってきますから、何日も同じ場所に通って、カメラを構えて。それをまたホームページやSNSにアップすると、リクエストが来るという感じですね。

風を撮る。ヒマラヤのコンデリ峰上空を激しく流れる雲が虹色に(撮影=野口健)(クリックで拡大)