第1回 レンズの向こうのまだ見ぬヒマラヤ
――写真についてうかがおうと思います。ヒマラヤ、アフリカ、日本の写真が収められた写真集『野口健が見た世界』のまえがきを読むと、登山家になる前はカメラマンになるのが夢だったとか。
小学校低学年のころからですね。テレビドラマの『池中玄太80キロ』が好きでよく見ていました。西田敏行さんが演じる主人公、池中玄太が報道カメラマンでした。その影響でカメラマンに憧れたんです。
ただ、あとで思うとカメラマンという職業よりも、主人公のがむしゃらな生き方に憧れたのかもしれません。
中学1年になって写真部に入ろうと決めて、父にねだって一眼レフカメラのニコンFM2を買ってもらい、それからは高校まで写真部に所属していました。高校卒業後は写真を撮る機会から遠ざかっていたのですが。
――今、ここへきて写真の世界に戻られたのは、何か心境の変化があったのですか。
2~3年前、親友のミュージシャン、レミオロメンの藤巻亮太さんと八ヶ岳に登ったんです。彼は写真が趣味で、山にいる間とても楽しそうに写真を撮っているんですね。