ガレージを見終わった後、ウィル・スティーガーは、木工ショップの裏にある、比較的新しい建物に案内してくれました。

 他と同じく平屋ですが、床を地面から離した高床式の構造になっているので、階段を少し登らないと、入り口の扉に辿り着きません。

「ここは、トリップ・ショップだ」

 ウィルがそう言いながら扉を開けると、中はがらんとした間仕切りのない大部屋で、真ん中に大きなテーブルが置かれ、壁のいたるところに探検用の道具が並んでいました。

 ここはどうやら装備を蓄えておく倉庫のようです。

マイナス25℃に下がった冬の朝。トウヒとアスペンの森に凍裂の音が響く。(写真クリックで拡大)

 入って左の壁にはクロスカントリー用のスキーやストックがいくつも立てかけられ、それにまじって、極北のイヌイットたちが使っていそうなアザラシの毛皮の靴や手袋も、壁にかけられていました。

 目の前の壁は、一面が作り付けの棚になっていて、ナベ、調理用ストーブ、さまざまなボトル……その他、何に使うのかよくわからない見慣れない道具もびっしりとつまっていました。

 まるで、山道具屋みたいに、壁面いっぱいに置かれた装備のひとつひとつを見ているだけで、興味は尽きませんでした。

 ふり返って入り口側の壁をみると、部屋の端までクローゼットになっていて、色とりどりのシャツがハンガーにかけられていました。

 奥へいくに従って、より暖かそうなダウンジャケットやワンピースのダウンスーツが並び、一番奥にはさまざまな厚さの寝ぶくろが、いくつもかけられていました。

 ぼくがこれまで使ったことのない、極地用の防寒具がずらっと並んでいる様子は壮観で、南極や北極の厳しさを無言で物語っているような気がしました。

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