つまり、シャン人はあまりにも日本人に似ているので、あまり書くことがないんです。自分もそこに甘んじて、彼らをわかった気になってしまうということがありがちです。一緒にいて楽チンですけれど、書き手としては物足りないですね。

 対して、ソマリ人は、ここまでつきあってきても、未だによくわからないところがあります。そっちのほうがやはり、おもしろさを感じます。一緒にいるのは大変だけれども、新しい発見が多いし、書くことがたくさんあります。

 まあ、ソマリランドにどっぷり浸かっていますから、今では多少、彼らの思考パターンがわかりますね。現地に行くと、ソマリチャンネルに切り替わって、ソマリ人のようにふるまえるようにはなりました。ソマリ人とその文化とは、これからじっくりつき合っていこうと思います。

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(おわり)

高野秀行(たかの ひでゆき)

1966年、東京都生まれ。早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)でデビュー。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、誰も知らないものを探す。それをおもしろおかしく書く」をモットーとし、アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションのほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表。主な著書に『アヘン王国潜入記』『巨流アマゾンを遡れ』『ミャンマーの柳生一族』(以上、集英社文庫)、『西南シルクロードは密林に消える』『怪獣記』(講談社文庫)、『イスラム飲酒紀行』(扶桑社)、『未来国家ブータン』(集英社)など。『ワセダ三畳青春記』(集英社文庫)で第一回酒飲み書店員大賞を受賞。『謎の独立国家ソマリランド』(本の雑誌社)で第35回講談社ノンフィクション賞を受賞。


高橋盛男(たかはし もりお)

1957年、新潟県生まれ。フリーランスライター。自動車専門誌の編集を手がけたのちフリーライターに。JR東日本新幹線車内誌「トランヴェール」、プレジデント社「プレジデント」「プレジデントファミリー」などに執筆。

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